菜の花会「飛島」吟行道中記

4月1日に急遽決定した花房典子先生率いる俳句の会「菜の花会」の飛島吟行ツアー。花房先生とはかれこれ5年になります。吉田文化会館館長の時に、岡山から吉田文化会館俳句講座の講師にお願いして、すぐに異動になってしまいましたが、先生の指導力と意欲的で社交的な講座生のみなさんに恵まれて、生徒さんを年々増やしながら今年で3年目かな。今回は、教室を出て飛島を満喫しながら俳句を詠む「吟行ツアー」です。
 参加者は、吉田文化会館教室7名、岡山教室4名、先生と私と飛び入りのジュニアさんの合計14名で飛島を目指しました。

笠岡ではお客様をお迎えするときには歓迎看板を作ってお迎えします。
この看板の句には想い入れがあり、歓迎用につくったものです。
歓迎「島おこし支えてくれよ藪椿」鶴亀

この句は、飛島の森鶴亀さんという方、当時85歳が椿まつりで募集していた俳句コンテストに応募され最優秀を取られた俳句です。名前も見るからにおめでたい名前で、飛島を案内するときに鶴亀さんの家の前では「めでたいものをお見せします」と言って、家の表札を見ていただいていました。もう今から20年近く前のことです。
85歳にしていつも島の為にいろいろと考えて実行にうつしてくれた長老でした。

この句は、大飛島洲の南遺跡の防潮堤に句碑が埋め込まれています。(是非ご覧ください)
この看板を持っているが左が加藤さん、右がジュニアさんです。

目次

急遽行先変更の巻

 どうせ行くなら!大飛島だけではなく小飛島にも渡り文字通り「飛島」ツアーとしたいとの思いがあります。
この小飛島は現在人口10名程度の笠岡諸島有人島では一番小さい島。本当に何もないと言っても言い過ぎではないほど何もない。ように見えますが・・・。公共施設も店も食堂ももちろんないのですが・・。無いからこそみんなで協力して生活しているその絆こそが今一番地域で失われつつあるものがここには確実に残っています。

と言うことで、参加の皆さんに上のパンフレットを渡して説明をしながら・・。8時50分の六島行の定期船「しおじ」に乗船しました。

ここでのワンポイント!人数が11人を超えたら「回数券」の購入で1人分旅費が浮くんです。
今回の人数が14名と言うことは・・。
回数券を購入すると10名分の値段で11名分のチケットが購入できます。それに3名分のチケットを追加で購入します。
今回は、往復チケットを購入せずに片道のチケット購入にしました。これにも訳があって・・・。
今回飛島でお世話になる菊野さんは飛島で切符の販売をしており、なるべく島側へお金が落ちるように復路は菊野さんから帰りに買うことにしたのです。(※なお、飛島からの切符には回数券が無いので通常の切符の購入になります。)

運賃の計算 
笠岡ー小飛島 1020円×10人分=10200円(1名分1020円割引)、1020円×3名=3060円 合計13260円 
小飛島ー大飛島 210円×14名=2940円
大飛島ー笠岡 1020円×14名=14280円                 合計30480円(※1020割引)
昼食弁当
荷菜 1000円×14名=14000円 うどんお礼 5000円  合計19000円   総合計49480円
徴収金額
1名 3500円×14名=49000円                     差引△480円 
※あれーーー。会計を加藤さんにお願いしたのですが、私の計算間違いで480円出費させてしまった。m(__)m

9時35分 小飛島到着

笠岡港を8時50分に出港し、大飛島経由で9時35分に小飛島へ到着です。ほとんどの方が小飛島初上陸!人口約10名の笠岡諸島では一番人口の少ない島です。公共施設は何もありません。しいて言えば集会所ぐいらいか。商店も食堂ももちろんありません。


 この島の見どころは、何と言ってもここで生活をされている「お姉さん方」ですかね。このお姉さん方の生活をNHKの番組で紹介されたこともあります。
 4月のこの時期は、島の特産である「エンドウ」の収穫時期でもあり、その過酷でもあり、島の元気の源ともいえるエンドウの栽培風景も見ていただきたいと思ってあえて畑を目的地として選びました。
 そして、港からエンドウの植えてある丘陵地への坂道を上がっていると、何とも奇麗な自生?かなとも思われるフリージアの花が所々に群生していて、道中の坂道のしんどさを感じないほどでした。見事です!

島の南側の日当たりがいい丘陵地にきぬさやとスナップエンドウが栽培されています。丁度、浜口ハマ子さんがスナップエンドウの収穫作業をされていました。この島のエンドウは地を這うように栽培されています。陸地部ではやっと苗を植えた時期ですが、ここ小飛島では10月ごろに種を植えて、南斜面の温かい気候もあって、早い時には年明けにもエンドウが収穫されることもあります。

そこから敢えて険しい道を上がって目的地のエンドウ畑に到着。

 このエンド畑からの風景が私は一番おすすめです。南に面した斜面にへばりつくようにエンドウが植えられており、海を見上げると春霞の中に六島を見ることが出来ます。
 昨シーズンまではここに90歳の静波さんの作業する姿がありました。姉さんの中では一番の長老でしたが、エンドウの栽培面積、収穫量共に常にトップ!しかし、昨年体調を崩し、帰らぬ人となりました。
 今では、そのあとを浜口光子さんが引き継いでエンドウ栽培をされています。

 小飛島のエンドウ栽培は通常では考えれれない重労働です。ゆえに、高齢者には大変な作業です。耕すのも鍬での手作業、収穫したものを背負って降りるほかありません。この白い花の咲いているのがスナップエンドウです。

これは、農政水産課にいたころに作った小飛島えんどうのラベルです。ここに写っているお姉さん方も半数に。最前列の中央が静波さんです。

 約1時間の小飛島の滞在時間の中で、飛島の氏神様である「嶋神社」へ参拝されたメンバーも。
この嶋神社の急な階段は島のお年寄りの日常の体力づくりの源ともいえるものです。今では毎日の参拝は体力的に無理の様ですが、5年ほど前まではお姉さんがたは毎朝3時にこの嶋神社への参拝が日課でした。参拝の後に、午前中は畑仕事、午後は集会所で三々五々集まって話をするという毎日でした。
 元気の源と言えば、岡山シーガルズの河本昭義監督は小飛島の出身で学生時代はこの階段を昇り降りして足腰を鍛えていたということです。

小飛島から大飛島へ

 大飛島へ到着すると、山河フミ子さん(90)に出迎えをいただき、大飛島洲の南遺跡や資料館をご案内いただきました。大飛島の洲港には旧飛島中学校・小学校があり、現在はフリースク―ル「育海」として離島留学の拠点施設として活用されています。現在全国から8名の生徒がこちらで生活されています。
 ここ大飛島は「瀬戸内海の正倉院」とも呼ばれ、遣唐使・遣隋使の航海の時に潮待ちとして立ち寄り、航海の安全を祈った祭祀遺跡「大飛島洲の南遺跡」があり、奈良三彩の子壺や古銭などの国指定重要文化財に指定される遺品が沢山出土されています。
 公民館の建物の1階の旧飛島幼稚園の一部を資料館として整備し、一般開放されています。(※見学希望の方は公民館又は島の方を探して声掛けしてください。)

 洲の港から「恋人岬」までは、約15分。ゆっくりと島の春を感じながら目的地を目指しました。
途中、森鶴亀さん宅の前もとおり、今では船員さんの宿泊所となっていました。
無くなるところばかりではありません。途中、イルドールという週末限定の宿泊施設が出来て、週末は島の方々もカフェとしても使っているようです。
 ここ恋人岬は飛島の見どころの一つとしておすすめの所です。

金魚椿

大飛島の尻替地区の砂防ダムに植栽された椿を「金魚椿」と言っています。
その理由は下の写真にもあるように葉っぱの先が金魚の尾びれのように割れているからその名前がついたようです。
私もこの日は緑系の服を着ていたのでなんかこの風景に同化しています。(笑)

恋人岬から昼食会場としている尻替の集会所までは、体力的、時間的なこともあり車での移動にしました。
当初公民館での昼食の予定でしたが、使えなくなり急遽尻替集会所をお借りして、弁当を持ち込みさせていただきました。

島のおもてなし「きりこみ」

 飛島では昔から、自宅でうどんを打って来客をもてなす習慣がありました。今でも島のご婦人方は機会あればうどんを打たれるようです。

 弁当に添えられて島の方々がおもてなしいただいたのは「きりこみ」と島では呼んでいる煮込みうどんです。そして、旬のさやえんどうを使った白和えも添えていただきました。
 島の方々も一緒に吟行というイメージでお声掛けさせていただいたのですが、食事の提供のために準備をしていただいた、山河菊野さん、山河昭美さん、太田浜枝さん、森安子さん本当にありがとうございました。

飛島尻替集会所での吟行句会

 食事の後に、同じ会場で各自5句づつ短冊に書いて、順に披露する中で島の風景や島のおもてなし等についての温かな気持ちが表現されて、島の方々も一緒に俳句の世界の面白味を体感されたのではないかと思っています。
 なかなか、机上で頭をひねっても俳句がでてきません。吟行のように場所を変えて、いろいろな人と接する中で、素直に感じた事を表現することから俳句を始めるとハードルは低くなると思いました。

初参加のジュニアさんの俳句を紹介します。(赤は花房先生の添削です。)ジュニアさんの句なかなかのもの!

尻替集会所の前で飛島の皆さんと記念撮影

14時35分 大飛島出発で笠岡港へ

 足早に飛島を吟行した皆さん、飛島の方々の「おもてなし」の心に接する中で、至福のひと時を過ごすことが出来き、島の玄関ゲートのごとく「また行きたい」と思わせる飛島弾丸吟行でした。
 本当に晴天に恵まれて飛島を満喫した一日でした。皆様お疲れさまでした。

飛島のお土産情報(おまけ)

小飛島の「さやえんどう」を笠岡港「しまのこし」住吉店で絶賛発売中です。
是非、お買い求めください。150g300円です。営業時間は10時~17時。

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